上野則男のメルマガ − システム企画研修 No.14  今月も5テーマです。  日本の現在に問題が多いということでしょうか。  ご関心のあるテーマをお読みいただければ幸甚です。 ★━━━━━━━━━━━ 上野則男のメルマガ ━━━━━━━━━━━★  ≪今号の内容≫  ■鳩山首相、上野の危惧が現実に!  ■トヨタ頑張れ!  ■公園に「犬を入れないでください」?  ■「危機後もあえて広告費や出張費を増やした!」 ■「(蛇足)傘の忘れ物」 ★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━No.14 09年11月━━★   小論に対するご意見・反論(掲載の可否は弊社で判断させて いただきます)、ご寄稿等はこちらにお願いします。     ueno@newspt.co.jp  随時、弊社のホームページにバックナンバを含め掲載いたします。  ご利用ください。     http://www.newspt.co.jp/data/mailmaga/mgbk.html ◆…━◆【鳩山首相、上野の危惧が現実に!】◆━……◆        「目的・ねらい」をはっきりさせよ!!  私はこのメルマガ9月1日号で、  鳩山新首相が人の意見に振り回される傾向のあることを  指摘させていただきました。  その後1か月過ぎで、早くもそれが現実になってきました。 その1 日米関係  オバマ大統領には  「日米同盟を基軸にアジア諸国との信頼関係を強化したい」と言い、  2週間後の日中韓首脳会談では  「日本はややもすると米国に依存しすぎていた。  日米同盟は重要だが、  アジアをもっと重視する政策をつくり上げていきたい」  と言っています。  「基軸にする」というのと、  「重要だが」とでは明らかに基本精神が異なっています。  相手に合わせて適当なことを言っているとしか思われません。  根底にしっかりした方針がないからでしょう。 その2 沖縄基地問題  沖縄の米軍基地移転問題では、  ご承知のように次のように意見が変遷しています。  衆議院議員選挙中「最低限でも県外移設」  10月7日「日米合意を前提に、県内移設もありうる」  10月8日「合意も重いが、いちばん大事なのは県民の意思だ。  県民の意見を聞いて判断したい」  この案件はそうやって決めるべき問題でしょうか。  国の安全を守るという観点からどうすべきなのか、  その場合、沖縄県民もしくは基地周辺の住民に負担を強いるのであれば、  それをどうやって償うかを考えるのが筋ではないでしょうか。 その3 母子加算の復活  3兆円削減で話題になった  今年度補正予算の削減検討の中でのことです。  財務省側は全額復活に反対し半額を主張していました。  全額復活を主張する長妻厚労大臣は鳩山首相に直談判して、  全額復活を実現してしまいました。  鳩山首相は、  陳情を受けると、あるいは意見を言われると、  その一つずつを判断して  「それは良いことだ、必要なことだ」  と賛成されるのです。  そうしていたら、財政規律の歯止めが効かなくなる、  というのが財務省の心配です。 その4 マニフェストに対する責任  「マニフェスト(の公約の履行)よりも、  国民が赤字国債の発行はいけないというのなら、それに従う」  「マニフェストで最初に申しあげたことは一つの約束事だが、  時間というファクタで変化する可能性は否定しない」  とも語った(10月8日日経新聞)。  迷走もここまで来るか!という感じです。  国民の言うことを聞こうという姿勢は悪いことではないのですが、  国民は単純に言えば、低負担・高リターンを望むのです。  あれもこれもに対して  どのように優先順位をつけるのかを決めなければなりません。 その5 国家目標  優先順位をつけるためには政策の基本目標、  「日本をどういう国にするのか、  それをどういう道筋で実現していくのか」が必要です。  それが不明確なのです。  国家の目標とまで言わなくても、  景気重視か財政再建か、でさえ定かではありません。  補正予算の3兆円削減にしても各大臣・省庁任せで、  そこに対して削減の方針が示された形跡はなく、  3兆円削減する、という目的が独り歩きしています。  何のために削減するかというねらいが示されていないため、  頑張った大臣(前原国交相など)のところの削減額が大きい  という結果になっているのです。  他にもこの類は枚挙に暇がない、毎日出てくる、  という状況です。  では「少子化対策」を例に、  目的・ねらいの構図でどう考えるべきかを  掘り下げてみましょう。  日本を元気にするには子供を増やさなければダメだ、  という考えで5兆円をその対策費に使うというのは短絡的です。  子供を増やす(脱少子)は「目的」です。  なんでもかんでも子供が多ければ良いわけではありません。  子供を多くしてどういう国にするのか、  それが「ねらい」です。  「ねらい」のほうが重要なのです。  高齢者が安心できる国にする。  働き手を確保して国家を維持する財源を確保する。  (国家の衰退を避け)経済的にも充実・発展させる。  いろいろな意見があるでしょうが、  基本的には日本の国を衰退から守ろうということがあるはずです。  衰退から守るには、子供が増えるだけでなく、  その子供が成人し、  働いて収入を得られる仕組み、雇用が必要です。  そのためには雇用を受け入れる産業の育成確保が必須です。  そうしなければ、低開発国のように人が多くて仕事がない、  という状況になってしまいます。  少子化対策のための費用は当然ながら税金です。  法人税の増税(少なくとも非減税)ということになれば、  産業はどんどん国外に逃げてしまいます。  雇用の確保ができなくなります。  雇用の確保をするには  言わずもがな、産業の強化育成が必要条件で、  これには税金がいります。  どういう順序で税金を使い、目標を達成していくかが戦略です。  まずは経済の発展ではないでしょうか。  確実な収入が得られれば、  国に頼らず自分のお金で子供を育てるでしょう。    ただし、子供を育てることを助ける仕組みは必要です。  保育園の充実とか、会社の育児補助制度の充実促進とか、です。  これは並行して積極的に進めるべきです。  全員の学費補助とかで、お金をばらまくのは筋違いです。  「定額給付金」と同じ発想ではないですか。  さて、この項の最後です。  ここのところ、鳩山さんをテレビで拝見すると、  かなり憔悴しておられます。  失礼ながら「お坊ちゃん」であることを考えると、  この危機を乗り切れるかどうか危ない気がします。 ◆………………━◆【トヨタ頑張れ!】◆━…………………◆   トヨタが栄光の座から滑り落ちるとすれば何が原因か、  の問題提起を2008年12月号でさせていただきました。  そのときの結論は「慢心」でした。  トップ企業がトップの座を他に譲り渡すのは  ほとんどこの慢心のようです。  キリン、日経新聞、の例をあげました。  残念ながら、この心配は的中しつつあるようです。  以下は、トヨタの今年の主なリコールです。  一説によれば、トヨタはリコール王なのだそうです。  1.アクセルペダルがフロアマットに引っかかって戻らずに、    事故を起こす。  2.米国販売のピックアップトラック「タンドラ」の    車体フレームの腐食  3.ヴィッツのパワーウィンドウスイッチ不良で火災の危険    (10/21発表)    1番目は、そのこと自体は単純なことですね。  アクセルペダルの設計者や運転席の床マット設計者は、  それぞれある前提で、  その機能を十分果たせるように設計していたことでしょう。  ところが、米国での床マット調達者は、  あまり問題意識がなかったために  安易な調達をしたのではないでしょうか。    気の緩みだけからとは言いませんが、  とにかく抜けが起きているのです。  その状況を考えてみましょう。    トヨタが提唱している「なぜなぜ5回」では、  何か不具合が起きたときに、  「それはなぜか、それはなぜか」と、  ある限定した前提条件の中で原因をどんどん掘り下げていきます。  自分の現場での品質不良あるいは納期遅延等の原因追求  には向きますが、  本質的な原因追求はあまり得意ではないようです。  アクセルペダルの件の場合、  製品の中の品質不良ではありません。  なぜかと追求したらどうなるでしょう。    運転席のフロアマットが不適合である。   なぜか1.不適合のフロアマットを使用した。   なぜか2.不適合のフロアマットを調達した。   なぜか3.フロアマットの必要規格を調達者が認識していなかった。   なぜか4.フロアマットの必要規格が関係者に周知されていなかった。   なぜか5.現地でフロアマットを調達することを想定していなかった。  これで5回の「なぜか」が終わります。  これからどうなるのでしょう。    この次の原因は、  「フロアマットなど備品の規格に対して本社生産部門の関心が薄い」  ということでしょうが、  この答えは現場の「なぜなぜ」で出てくるでしょうか。  一度ことが起きれば  以上のように探求して再発防止策をとるでしょう。  しかしこんな問題は滅多に起きません。  起きたときにこのような後追い対策を実施しているのでは、  モグラたたきでキリがありません。  基本的には、フロアマットの調達者の気がどれだけ回るか、  ということが決め手になるのではないでしょうか。  基本的な気配り・配慮をするという意識は、  慢心・気の緩みがあったら働きません。    このように部分最適指向で、  決められたとおりにやっていれば大丈夫だ  という慢心・思考停止は、  致命傷になる危険性を孕んでいます。  トヨタは日本を代表する製造業です。  慢心を捨てて初心に返り、復活していただきたいものです。  「成功は1日で捨て去れ」  ファーストリティリングの柳井正さんの言葉です。 ◆………━◆【公園に「犬を入れないでください」?】◆━………◆    この目的は犬を公園に入れないこと、しかしそのねらいは?    私は毎日ジョギングというか散歩的かけっこをしています。  週に1度行く近くの戸越公園(熊本の細川公の別邸だった所))  には入り口が3か所ほどありますが、  すべての入口に「犬を入れないでください」と明示されています。  ですが、多くの人がそれを無視して犬を連れて入っています。  先日から、そういう人を見かけると注意するようにしました。  そうすると、無視する人や、  「いや、家がこの向こうだから(公園を通ったほうが近い)」  と言われたり、  中には「みんな入れている」と言う人もいる始末です。  「そんなことは理由にならない」と反論すると、  「じゃ区役所に訴えろ」と言う人もいました。  これはいかん、  何のために犬を入れてはいけないかが明示されていないから、  みんな無視するのだろう、  と思って区役所に問い合わせてみました。  「根拠の条例は何ですか?」と質問すると、  品川区立公園条例3条の13項  「前各号のほか、公園の管理に支障がある行為をすること」  をしてはならない、に該当するのだそうです。  そんな「その他」の規定で、  区民のもめ事を引き起こすのはまずいのではないか、  「犬を入れないでください」の表示をやめるか、  もっと積極的に  こういう理由で犬を入れてはいけないと表示するか、  にしないといけないのではないか、と思いました。  犬を嫌いな人がいて(私は嫌いではありません)、  「犬がいると安心して寛ぐことができない」  (先日も悲惨な死亡事故がありました)  ということが理由なら、  多くの人は納得がいくのではないかと思います。  それに、「公園の管理に支障がある」というのは  「お上」の発想です。  「利用に支障がある」とか、せめて「運営に支障がある」  とすべきでしょう。  私は、条例を改定すべきだという意見書を品川区長に送りました。  「このような「無視」は子供の教育上まずい。  指示を守らなくてもよいのだ、は、法律を守らなくてもよいのだ、  につながっていきます」  と申し添えました。  皆様どう思われますか。  (家族は「そんな注意なんかしていると、そのうち殺されるよ」  と心配しています) ◆…━◆【「危機後もあえて広告費や出張費を増やした!」】◆━……◆  これは、第11回日経フォーラム「世界経営者会議」での  スイスの高級時計ブランド「ウブロ」のCEOの発言です。  「他社と差異化を図るため」その方針を打ち出し業績を伸ばした、  のだそうです。    私は近著「目的達成の教科書」の中で、  売上を伸ばさなければならないときに  「なぜ交際費・営業経費を削減するのか」  と問題提起をしました。  「交際費は売上を上げるためのものではないのか。  それなのになぜ他の経費と同じように削減するのか。  無策としか言いようがない」と申しあげたのです。  そのときは、単に正論として述べたのでしたが、  その実践成功者がおられたということは嬉しいことです。  正論は勝つのです。 ◆………………━◆【(蛇足)傘の忘れ物】◆━…………………◆   9月の終り、久々の雨の日、地下鉄に傘を忘れてしまいました。  席の横の手すりのところに掛けて忘れてしまったのです。  (鉄則:傘は横に置いたり掛けたりしてはいけない!)  「何か」に気を取られていました。    大した傘ではなかったのですが、取り戻すことにしました。  都営線の忘れ物係に電話しました。  当日は、まだ駅から回収されていないとのことでした。    3日目に聞きましたが、まだありませんでした。  「まだこれから回収されるかもしれないので、  もう一度、月曜日にかけてみてください」ということでした。    うっかり忘れて火曜日に電話しましたら  「その日の分は、もう警視庁の忘れ物センタ―に行ってしまいました。  1週間以内に移管せよ、とのお達しなものですから」  と言われてしまいました。  そこで、よし、それならとことん探してやろう、と思いたち、  数日後飯田橋にある警視庁の忘れ物センタ―に行きました。  係官が見つけられずに、  「自分で探して」ということで地下の倉庫に案内されました。  いやびっくり!!  100坪以上の広い倉庫に傘がびっしりありました。  日にちと電車の線別に分けられていました。  私の該当の浅草線9月30日は四角い籠にびっちりで  200本くらいはあったでしょう。  残念ながら、私の傘は見つかりませんでした。  乗入れしている京成線に行ってしまったのかもしれませんが  そこまで探すのは諦めました。  聞くと、  落し主が不明のものは3か月で処分するのだそうです。  落し主に戻らない傘も可哀そうですが、  大変な保管料ですね。   以上です。お読みいただきありがとうございました。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【目次および開催日程】 http://www.newspt.co.jp/data/schedule.html ▼ 第10回 システム分析・企画コース・・・・11/18〜19 ▼ 第3回 ISトップ・フォーラム・・・・・ 11/20 ▼ 開発成功の秘策研究トップセミナ ・・・・ 11/30 ▼ 要件定義手法研究コース ・・・・ ・・・12/2〜3、12/10  ▼ 第37期 MM式‘超’プロマネ養成研修・・・1/16スタート ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  【研修名】第10回 システム分析・企画コース  【日時】11月18日(水)〜19日(木)  各9時30分〜18時  【費用】78,000円/1名(テキスト・e-learning・昼食代・税込)  【詳細】http://www.newspt.co.jp/data/kensyu/open/f11.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  【研究会名】第4回 ISトップ・フォーラム   情報サービス業のトップの皆様を対象に経営改善に繋がるテーマを   ご研究いただく研究会です。つど参加も可能です。  【講 師】日本情報システム・ユーザー協会 専務理事 細川泰秀 殿  【テーマ】ユーザ企業はIT企業に何を望んでいるか  【日時】11月20日(金)14時〜18時、その後情報交換会  【費用】会長・社長様お1人参加 :会長または社長お1人6.5万円、 ご同伴者1名付き7.5万円  【詳細】http://www.newspt.co.jp/data/is/is2r1_04.html  【対象者】情報サービス業の会長・社長様 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【セミナ名】開発成功の秘策研究トップセミナ  【日時】11月30日(月) 14時〜19時  【費用】無料  【詳細】http://www.newspt.co.jp/data/semina/tops.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  【研修名】要件定義手法研究コース  【日時】A.業務プロセス設計編         12月2日(水)〜3日(木)9:30〜18:00       B.データ分析基本編         12月10日(木) 9:30〜18:00  【費用】A.業務プロセス設計編+B.データ分析基本編        (3日間)\126,000/1名(テキスト・税込)       A.業務プロセス設計編のみ        (2日間)\89,250/1名(テキスト・税込)      ※データ分析基本編のみの受講はお受けしておりません。  【詳細】http://www.newspt.co.jp/data/kensyu/yoken/ysemi.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  【研修名】第37期 MM式‘超’プロマネ養成研修  【日時】2010年1月16日(土)〜7月10日(土)*この間研修は計8回 【内容】相互啓発を重視した訓練中心です。  【対象者】プロマネの基礎能力を身につけ、本格的プロマネを目指す方  【費用】お一人 525,000円(税込み) *初めてご参加の場合は特別割引をさせていただきます。お問合せください。  【詳細】http://www.newspt.co.jp/data/epm/epm.html ━…‥‥…━…‥‥…━…‥‥…━…‥…━…‥…━…‥…━━…━◆━…・◆ お申し込み・お問い合わせにつきましては本メールへの返信あるいは 弊社HPよりお願いいたします。 ↓ http://www.newspt.co.jp/data/schedule.html ☆★アドレス変更・送信停止等は本メールへの返信にてお願いします★☆ ========================================== システム企画研修株式会社 Tel:03-5695-3130、Fax:03-5695-3131 〒103-0001 中央区日本橋小伝馬町16-2 東事協ビル2F mind-pc@newspt.co.jp http://www.newspt.co.jp ==========================================