上野則男のメルマガ − システム企画研修 No.3 ★━━━━━━━━━━━ 上野則男のメルマガ ━━━━━━━━━━━★  ≪今号の内容≫  ■金川千尋社長の名言  ■企業の成功要因と失敗要因  ■研修(オープン・コース)、セミナのご案内 ★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━No.3━━★   小論、それに対するご意見・反論(掲載の可否は弊社で判断させていただきます)、  ご寄稿等は随時、弊社のホームページにバックナンバを含め掲載いたします。  ご利用ください。          http://www.newspt.co.jp/data/mailmaga/mgbk.html ◆・◆・…………………━◆【 金川千尋社長の名言 】◆━…………………・◆・・◆              金川千尋信越化学工業(株)社長は、 2006年5月日経新聞「私の履歴書」で次のように述べておられます。 金川社長は日経新聞社が調査した「平成の名経営者」でも6位に選ばれています。 ちなみに、1位は日産自動車のカルロス・ゴーン社長でした。 私が尊敬しているセブンイレブン・ジャパンの鈴木敏文氏は4位、松下電器産業の 中村邦夫氏は12位でした。  *-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*  会社の仕事は「他社もそうしている」「以前もそうだった」といった理由で  進められがちだが、まず惰性を振り切り、原点に戻って考えることが必要だろう。  「何かおかしい」と感じ、「ではどうすべきか」と考えることが発展につながる。  おかしいと感じなくなったら、もうおしまいだ。  *-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-* 金川社長の言われていることを、私は小著「価値目標思考のすすめ」で、 「前例・みんな主義」と名づけました。 この思考からの脱却法として価値目標思考をお勧めしました。 「何かおかしい」と感じたら、次に「これは何のためにしているのだろう?」 とその実施目的を考えると、「ではどうすべきか」の答が出てくるのです。 「これは何のためにするのだろう?」と考えることは当たり前のことのようですが、 案外そう考えていないことが多いようです。 「価値目標思考のすすめ」の推薦文を書いてくださった 堺屋太一さんもそう言われています。 かく言う私もそうです。思考が混乱してきたら、「あ、そうだ。この検討目的は 何だろう?」と考えると検討の方向性が見えてきます。 それでも答が見つからないときは実態把握や情報が不足しているのです。 まず、目的を検討するための情報収集をしなければなりません。 こういうアプローチで大概の問題の方向性は見えてきます。 方向が見えればそれを具体化すればよく、 それからは大きな試行錯誤が起きることはまずありません。   ぜひ、価値目標思考にお取り組みください。 ━…‥‥…━…‥‥…━…‥‥…━…‥…━…‥…━…‥…━━…━◆━…・◆・・◆   ◆・◆・……………━◆【企業の成功要因と失敗要因】◆━……………・◆・・◆ どういう会社が成功・発展してきたかの解説書は数多くベストセラーになって います。代表的なものは以下の4書です。この4書で挙げられている成功要因を 私なりに以下のように分類してみました。  A.トップのリーダシップにかかわるもの  B.戦略にかかわるもの  C.人(社員)にかかわるもの  D.企業文化・思考風土にかかわるもの  E.組織・体制・制度にかかわるもの 1.トム・ピーターズ、ロバート・ウォークマン   「エクセレント・カンパニー 超優良企業の条件」1982年刊行  8つの原則:   行動の重視-------------------------------------D   顧客密着---------------------------------------B   自主性と企業家精神(部門に分割し競争させる)-------E   「人」を通じての生産性向上------------------------C   価値観に基づく実践------------------------------D   基軸から離れない--------------------------------B   単純な組織、小さな会社---------------------------E   厳しさと緩やかさの両面を同時に持つ----------------D 2.ジム・コリンズ、ジェリーポラス   「ビジョナリー・カンパニー 時代を超える生存の原則」1994年刊行   会社の意思決定と行動を導く基本理念をもつ----------------A   強力な企業文化を築く-----------------------------------D   従業員のやる気と長所を引きだすような大胆な目標をさだめる--A   人材を育成し、社員に自発的に向上させる------------------C   実験精神とリスクを失わない姿勢を養う---------------------D   卓越した企業になろうと鋭意努力する-----------------------D 3.ジム・コリンズ   「ビジョナリー・カンパニー2−飛躍の法則」2001年刊行  準備期:   リーダーは意志が強いが謙虚(第5水準のリーダー)------------A   相応しい人材を集める(最初に人を選び、そのあとに目標を選ぶ)-C   現状をしっかり見つめて勇気をもって立ち向かう----------------B   (厳しい現実を直視する)  飛躍期:   明確な目標設定(針ねずみの概念)-------------------------B   実行(規律の文化)---------------------------------------D   前進を促す技術の利用(促進剤としての技術)----------------B 4.ロバーソン、ジョイス、ノーリア   「ビジネスを成功に導く4+2の法則」2003年刊行  以下の4項は必須:   戦略−明確で目的をしぼりこんだ戦略をたてる-----B   業務遂行−完璧な業務計画を立て実行する-------D   企業文化−実績主義の文化を築く---------------D   組織構造−階層の少ない柔軟な組織を作る-------E  以下の4項はいずれか2項が必要:   人材----------------------------------------C   リーダシップ----------------------------------A   イノベーション---------------------------------B   合併と提携-----------------------------------B 私なりに上記4書の説を分析してみました。 まず、4書の説を前掲の区分で整理してみるとこうなります。 wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww T=エクセレントカンパニー U=ビジョナリーカンパニー V=ビジョナリーカンパニー2  W=成功に導く4+2の法則       |  T  |  U  |  V  |  W   |  合計 ----------------------------------------------------------------------- A.リーダシップ       |  0  |  2  |  1  |  1  |  4 ----------------------------------------------------------------------- B.戦略       |  2  |  0  |  3  |  3  |  8 ----------------------------------------------------------------------- C.人材       |  1  |  1  |  1  |  1  |  4 ----------------------------------------------------------------------- D.企業文化・思考風土       |  3  |  3  |  1  |  2  |  9 ----------------------------------------------------------------------- E.組織・体制・制度       |  2  |  0  |  0  |  1  |  3 -----------------------------------------------------------------------  合計       |  8  |  6  |  6  |  8  | 28 wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww このA〜Eの区分は、主にこれであろうと私が判断した分類です。 多少のブレはあるでしょう。 著者たちも自分の判断で対象の成功要因を分類判断していますから、 何を重視しているかは著者の思考の影響を受けています。 しかし、その影響を捨象して数字が正しいとすると、次の結論が出てきます。 1990年代前に刊行された2書では、 「D.企業文化・思考風土」が強い成功要因(成功した企業の特性)となっています。 これに対して2000年代に刊行された2書では、 「B.戦略」が強い成功要因となっています。 1990年ごろまでの事業は過去の延長で展開できましたから、その時代に 合った組織文化や思考風土を築き上げた企業が成功したのでしょう。 それに対し、現時点は激しい競争社会です。 何年もシェア首位を維持するのは至難です。 この時代にあっては、ご承知のように戦略の良し悪しが事業の成否を決めるのです。 同時代に刊行された2書同士は後発が他書の批判をしていますが、 基本的なとらえ方は同じなので「同じ穴の狢」でしょうし、 同じであるということは、各書の主張は、 時代背景を受けてそれなりに正当であるということも言えそうです。 フィル・ローゼンツワイグは「なぜビジネス書は間違うのか」(2007年刊行) で以下のように述べています。 (実は、前掲4書の主張紹介は同書の記載によっています。)  *-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*  以上(前掲4書等)の諸説を分析した結果、  これらの要因は、すべて妄想と先入観とハロー効果の産物である。    成功要因と言っているが、  (百歩譲って)成功した企業はこうだったという意味であって、  こうすれば成功するということではない。    成否を分けるのは戦略と実行である。  戦略にはリスクがあり、実行には不確実性がある。  それらがうまく行ったときが成功である  (これをしたら必ず成功ということはありえない)。  *-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-* これは同感です。「戦略重視」は先ほどの私の分析からしても、 現時点では当然のこととなります。 さらに、経営戦略は当然トップが決定すべきことですが、 前掲の成功要因のうち、長年培われた組織風土は別として、 すべてトップが方向づけすべき内容です。 安定成長時代のトップは「お神輿の上に乗っていればよい」 などと言われたこともありましたが、 現在の変革の時代は、 トップが判断して強力なリーダシップで会社を変革していかなければ間に合いません。 そしてトップの判断が正しかった場合が成功企業となるのです。 私は、松下電器(現パナソニック)の中村前社長がその代表例だと思っています。 ローゼンツワイグの分析によれば、前掲4書で紹介された成功企業は、 その半分以上が何年後かには業界の平均以下の成長しかしていない (落ち目になっている)のだそうです。 ではなぜ成功企業が落ち目になるのでしょうか。 その分析書があります。 ジャグディッシュ.N.シース「自滅する企業」(英治出版)によると、 優良企業が衰退していく場合は以下の7つの習慣病に侵されている、 ということです。 1)現実否認症--------------神話・定石・正統という呪縛 2)傲慢症------------------おごれる者久しからず(主にトップ層) 3)慢心症------------------成功は失敗のもと(主に社員全般) 4)コア・コンピタンス依存症---諸刃の剣 5)競合近視眼症------------忍び寄る伏兵 6)拡大脅迫観念症----------右肩上がりの幻想 7)テリトリー欲求症----------コップの中の縄張り争い 当書ではその事例・症状・治療法を具体的に示していて、 たいへん参考になります。 この7つの要因を要約すると「成功したことが失敗要因になる」ということです。 私の見聞でも、過去の小売業最大手D、過去の酒類製造業最大手K、N新聞社など、 この指摘がかなり当てはまっていると思われます。 日本の代表的製造業T社でも危ないかもしれません。 ■ここから得られる教訓は?   長々と解説してきましたが、 情報サービス業界または情報システム/IT部門にとって 何が教訓になるのでしょうか。 1つ目は衰退要因です。 おそらく、大成功して慢心している企業はないでしょうが、 ある状況に安住して慢心したという例はありそうです。  ・情報システム/IT部門が、右から左に仕事を流すだけを何年か続けて、   存在意義が何も無くなってしまった。  ・大手元請け企業は、元請け業に徹して   「丸投げ」方式で「下請け」を使ってきたために技術の空洞化が起き、   有効にプロジェクトを捌けなくなってしまった。 などです。 今多くの企業でこの反省が行われているのは結構なことです。 しかし、生き残りは時間との勝負です。 トップのリーダシップで敏速に方向転換をしなければなりません。 もう1つの教訓は、当然のことですが、 この世界でも戦略が重要であるということです。 前掲の後半2書で挙げているのは次の4点です。   明確な目標設定(針ねずみの概念)-------得意分野集中   前進を促す技術の利用(促進剤としての技術)    イノベーション    合併と提携  ぜひ、今の仕事のやり方を見直して 「イノベーション」していただきたいと思います。 それには「前進を促す技術の利用」も必要です。 最も重要なのはトップのリーダシップではないでしょうか。 ━…‥‥…━…‥‥…━…‥‥…━…‥…━…‥…━…‥…━━…━◆━…・◆・・◆ ◆・◆・…━◆【研修(オープン・コース)、セミナのご案内】◆━…・◆・・◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【目次および開催日程】 http://www.newspt.co.jp/data/info/schedule.html  ▼ 夢創出プログラム研究会2次会員募集のご案内 ▼ 新リスクマネジメント研究セミナ・・・・・・・・・・・・12/9  ▼ ISトップ・フォーラム・・・・・・・・・・・・・・・・1/15  ▼ 「要件定義ガイド」策定ノウハウセミナ・・・・・・・1/21  ▼ 第34期 MM式‘超’プロマネ養成研修・・・・・・・1/24スタート  ▼ 開発成功の秘策研究セミナ・・・・・・・・・・・・・・1/29 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ※すでにお申込みの方には、度重なるご案内をお詫び申しあげます。 ※会場の記載の無いものはすべて弊社(システム企画研修)にて開催いたします。  http://www.newspt.co.jp/data/copr/map1.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  【研究会名】夢創出プログラム研究会   10月28日に10社でスタートいたしました。2次会員を募集いたします。  【日時】第3回 12月22日(月) 13時30分〜18時30分       (第4回以降は下記URLよりご参照ください)  【費用420,000円/1社(税込)  【詳細】http://www.newspt.co.jp/data/dlm/dlms.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【セミナ名】新リスクマネジメント研究セミナ  【日時】12月9日(火)14時〜18時30分 【費用】10,000円/1名(消費税込み)  【詳細】http://www.newspt.co.jp/data/info/semina/risks.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  【研修名】第5回 ISトップ・フォーラム   情報サービス業のトップの皆様を対象に経営改善に繋がるテーマを   ご研究いただく研究会です。つど参加も可能です。  【日時】2009年1月15日(木)14時〜18時、その後情報交換会  【費用】会長・社長様お1人参加 :52,500円/1回、ペアご参加 :63,000円/1回  【詳細】http://www.newspt.co.jp/data/info/is/is12_05.html  【対象者】情報サービス業の会長・社長様  【会場】(株)データ総研様(小伝馬町) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【セミナ名】「要件定義ガイド」策定ノウハウセミナ  【日時】2009年1月21日(水)  13時30分〜17時30分  【費用】10,000円/1名(消費税込み)  【詳細】http://www.newspt.co.jp/data/info/semina/nouhaus.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  【研修名】第34期 MM式‘超’プロマネ養成研修  【日時】2009年1月24日(土)〜2009年7月18日(土)*この間研修は計8回 【内容】相互啓発を重視した訓練中心です。  【対象者】プロマネの基礎能力を身につけ、本格的プロマネを目指す方  【費用】お一人 525,000円(消費税込み) *初めてご参加の場合は特別割引をさせていただきます。お問合せください。  【詳細】http://www.newspt.co.jp/data/epm/epm.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【セミナ名】開発成功の秘策研究セミナ  【日時】2009年1月29日(木) 14時〜19時  【費用】無料  【詳細】http://www.newspt.co.jp/data/info/semina/tops.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━…‥‥…━…‥‥…━…‥‥…━…‥…━…‥…━…‥…━━…━◆━…・◆・・◆ ---------------------------------------------------------------- お申し込み・お問い合わせにつきましては本メールへの返信あるいは 弊社HPよりお願いいたします。 ↓ http://www.newspt.co.jp/data/info/schedule.html ☆★アドレス変更・送信停止等は本メールへの返信にてお願いします★☆ ========================================== システム企画研修株式会社 電話:03-3440-1800、Fax:03-3440-1799 〒108-0074 港区高輪3-11-3 東信高輪ビル4F mind-pc@newspt.co.jp http://www.newspt.co.jp ==========================================